「獣になれない私たち」第1話感想

↑最近買った鞄が晶と色違いだった


「獣になれない私たち」第1話を見たので忘れないうちに感想を書きます。今期はドラマたくさん観るって決めたから! ネタバレは気にしないスタイル。

今期は面白そうなドラマがたくさんあって、これも楽しみにしていたドラマの1つ。

『空飛ぶ広報室』とか『逃げるは恥だが役に立つ』とか、ガッキー ×野木亜紀子脚本ドラマは好みなことが多かったし、野木さんの前作「アンナチュラル」はかなりハマっていたので放送決定のときからそれなりにワクワクして待ってた。



○ずっとしんどい。そしてやっぱり期待を裏切らない野木脚本


しんどい。しんどかった。前情報なしで臨んだんだけど、勝手にラブコメだと思ってたから、ずーっとしんどくてびっくりした。救いが(ほとんど)ない!!

いやだってあの国民的清純派女優のガッキーが、パワハラとセクハラの末、ホームから飛び降り未遂するんだよ!?    もうひたすらガッキー演じる晶の搾取、搾取、搾取のオンパレード。合間に挟まれるのも、息抜きではなくパワハラ&セクハラだし。松田龍平と菊地凛子パートのペラッペラでぶわぶわしたシーンだけが救いだった。東京砂漠のオアシス、タクラマカン。

でもやっぱり野木さんはすごいな、と思った。しんどさのパレードに加えて、社会問題のエレクトリカルパレードを破綻なく描き切るのだから。

突然話は冒頭に飛ぶ。
ドラマの第1話の冒頭15分っていうのは本当に大事な部分で、各局どうにかチャンネルを回されないようにものすごく力を入れている。
(例を挙げるなら、山◯ー主演のドラマは、絶対に◯ピーのむきむきに割れたシックスパックの半裸から始まる、みたいな感じ)

で、けもなれはどうだったかというと、田中圭の「あの女の人のファッション、何アピールなの?」という台詞から始まる。

あの田中圭の。おっさんずラブで一躍人気者となった、今好感度がスカイツリーより高い俳優の田中圭の。そんな日本一爽やかなおっさんが吐く、イヤ〜なセリフ。
この冒頭のシーン、ジェンダーに切り込むからねっていう脚本家の宣言と私は受け取った。でもそれは予想どおり、野木さんが今まで書いてきたドラマを観てれば以外でもなんでもない。でも、「獣に〜」はそこで終わってなかった。
人手不足、加重労働、パワハラ、セクハラ、毒親、介護、ひきこもり……いくらなんでも手出しすぎじゃ!?って思うくらい、昨今のいろんな社会問題が出てくる出てくる。それもさらっと的確に。隙がないから破綻もなくて、 す、すげぇ……とバカみたいに口をぱっかり開けている間にほんとに一時間が終わってしまった。社会派ドラマじゃないのに。アンナチュラルでも思ったけど、野木さんの書くオリジナルは、ジャンルにとらわれない。
なんかもう、鮮やかなマジックを見させられた気分だった。脳の解析スピードがついていってない。恒星の電話で来週の伏線もちゃんと張ってあるし、もう見事過ぎてタネも仕掛けもわからない。


○清純派ガッキーの真骨頂


今作はガッキーのイメージから、一皮剥けるドラマになるんじゃないかなと予想している(急な何様)。

ガッキーと言えば古くはマイボスマイヒーローの梅村さんとか、逃げ恥のみくりちゃんとかコードブルーの白石みたいに、真面目でしっかり者の役が多い女優さんだけど、「獣に〜」も例に漏れずやっぱり真面目でしっかり者。であるが故に搾取されまくる訳だけど、晶が今までガッキーが演じてきた女性と違うのは、真面目でしっかりしてることに、本人の意思に関わらず、限界が来ているということ。
ガッキー自体はただ晶を演じるだけだけど、それを見た我々視聴者は、「清純派とか無理あるから!!!こっちも人間だから!!!オフは!ブリーチ!してっから!!!」っていう本音を聞くことになるんじゃないだろうか。ちょうど、可愛いけどちょっとあざといイメージだった石原さとみが、「失恋ショコラティエ」で媚びてる女の苦労やしんどさを見せて、イメージを刷新したときみたいに。

ラストの、社長に業務改善書を提出するところのガッキーの声。少なくとも、過去のドラマのガッキーでは聞いたことのない発声だった。出し慣れてない感じも晶っぽくてよかった。ガッキーの低い声は若干戸田恵梨香風味。
それくらい、「キモい笑顔」の晶は今までのガッキーが演じてきたどの役よりもインパクトがあった。綺麗事の袋じゃ収まりきらないくらい、パンパンに膨れた清純でしっかり者のしんどさ。袋はきっといつか、破れる。

正直、晶のキャラクターは共感と同じくらい
反発を食らうキャラクターだなと思った。
私も本来自分の仕事じゃないけど、やらざるを得ない、放っておけないっていう無駄に責任感の強い部分は自分の中にもあるし、明らかにパワハラだけど、理不尽だけど、キモい笑顔で我慢しちゃうのもわかるし、晶ほど仕事はできないにしろ、共感できる部分は多い。
でも晶みたいにはなりたくないし、たぶん晶自身も自分のことそんなに好きじゃないと思う。責任ある仕事をふられていて、それをきちんとこなす能力もあるのに、自分は営業アシスタント採用なんですけど……って落ち込むところからもわかる通り、晶は現状は辛いし嫌なんだけど、その先がない。自分がどうありたいのかが、仕事でもプライベートでもあんまりよくわかってない人だ。

演出も晶を単なる親しみやすい人とはしていなかった。
シーン尻は主人公の顔、っていうのはドラマや映画の鉄則だと思うけど、前半の恒星に「キモい笑顔」と言われて店を出たシーンと、彼氏の母親に自分の家族のことを話した後のトイレに入るカットは両方とも後ろ姿だった。もちろん後ろ姿でも気持ちは伝わってくるけど、表情まではわからないわけで、つまり前半パートでは晶の感情は視聴者にははっきりとは伝えられていなかった。でも後半になるにつれ、土下座からの頭なでなでで死んでる真顔とか、社長のパワハラ催促とオヤジマジキモ電話のコンボでHPゼロの顔とか、どんどん追い詰められて「キモい笑顔」すら出てこない晶の感情がどんどん伝わってきた。そこからのホーム飛び降り未遂。

晶はわかりやすくない。単純にカッコよくも、駄目でもない。人間らしいな、普通だなと思った。これから晶、どんな風になるんだろう。


今のところ、私は自分がどういう風に生きたいのかを晶がわかっていくストーリーなのかなーと思ってるんだけど、野木さんは予想もつかない方向に話を進めていきそうで、来週もどう話が転ぶか楽しみ。
個人的には黒木華ちゃん演じる京谷の元カノが気になる。引きこもりの問題って、話題になった直後はよくドラマになってた印象だけど最近はサッパリだったし、ステレオタイプな若い男性ではなく女性を持ってきてるところも気になるし、脇役だけどちゃんと描いてあったらすごく嬉しいなと思う。

ってことで来週も見ます!

 

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